ピーチの香りと「涙のシークレットラブ」

夕方ニトリにアロマキャンドルを買いにでた。

そしたらピーチの香りのサシェがあった。

鼻を近づけるとう~ん甘くて酸っぱい匂い、そして懐かしい恋の思い出が蘇ってきた。

それは、20代の頃、本命の彼がいない時、たまたまお仕事先の方が声をかけてくれて、飲みに誘ってくれた。

その方は若くして地元でも、ある有名な会社を継ぎ、そして県のお仕事もされて超忙しい人だった。

いつも待ち合わせは同じ場所で、教えてくれたのはその方で、私がいつも早く来ては30分は待たされた。

でも、待たされても、好きな音楽を聞けるので苦にならなかった。

そのお店の名前は「難破船」

髭のマスターとイケメンの若い子がアシスタントで、店内には低くBGMがかかっているが、好きなレコードをかけてもらえるし、また持ち込んでもいいお店だった。

その方がリクエストした曲はダウンタウンブギウギバンド「涙のシークレットラブ」だった。

最初ギターのトレモロがあり、宇崎竜童の渋い声が入る・・・

そして私はピーチツリーフィズを飲んだ。

段々液体が少なくなっていくグラスの底に、桃の種のブツブツの穴の数を数えてはそのピーチの甘い香りに酔いしれるのだった。

そのお店のあちらこちらにピーチのサシェやドライフラワーが置かれてあり、なぜかピーチの香りをかぐとそのお店の事が思い出された。

その時少しの時期を共有した方はいつも仕事で疲れていて、一緒にいても、すぐ鼾をかいて寝る人だった。

そして海外や国内での出張先から必ず絵葉書を送ってくれて、ただ一行「君にこの景色を見せたかっった」とだけ書いてあった。

そんな素敵な人だったけど、なぜかフェイドアウトした気がする。

でも、そのあとは仲のいい女友達を誘ってそこのお店にカクテルを飲みに行き、お店のマスターとアシスタントとその友達と4人でスキーの日帰り旅行をしたりした。

決してその人達はその時の自分には本命ではなかったけど、楽しかった思い出。

バンガローの様なつくりの、真っ白な壁の天井を太いシルバーのパイプだけがはっているシンプルな作りのお店、カウンターの椅子だけの「難破船」

今はもうないでしょうね・・・

そして、ピーチの香りには今も胸がキュンとする。