こぶしの人去りゆく
こぶしの人去りゆく。白い微笑みを残して・・・
まだうら若き心と体を持って。世の中というものをまだ知らぬうちに神の前で契りを結び、離れ離れのたゆとう暮らしの中で初めてその意味を知る。
こぶしの人去りゆく。
溢れる熱い想いをこぶしの白き花びらの中にひっそりとしまいこんだ。その想いは山茶花の朱赤に燃える情念にも似て。
こぶしの人去りゆく。
新しい土地に、仕事に、人に向かうその姿。夜の悲痛な電話。思いのたけを聞く。
でも貴方は選ばれし人。頭脳も容姿も心も選ばれし人だから。頭のいい人は余計イマジンだから思いは宙をマッハの速さで駆け巡るのだろうか。
でも愛くるしい笑顔が涙で崩れないように・・・
遠いけど、いつでもストッパーになってあげます。こんなわたしでよければ。
淋しいけどその淋しさはきっと後で花になるよ。それこそ素敵なこぶしの花にね。
こぶしの人去りゆく・・・強く、今よりもっと強く優しくしなやかであれ。
遠くからいつも見守ってます。